全長6.36mでも寝室は広く。Rapido V64が示す間取り競争

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ニュースの概要

フランスのキャンピングカーメーカーRapidoが、英国のNECで開かれたモーターホーム・アンド・キャラバン・ショーで、新型キャンピングバン「V64」を披露した。ベース車はフィアット・デュカトで、全長は6.36メートルに収まる。それでも車内には、長さ1.95メートル、幅1.4メートルのアイランドベッドを備える。アイランドベッドとは、壁から離して置き、左右どちらからも出入りできる据え置き型の寝台のことだ。限られた車内では、寝床を広げれば通路が狭くなり、通路を確保すれば寝床が窮屈になる。V64は、その二択を間取りの工夫で和らげようとした一台である。

引用元: Rapido、6.36メートル車体に大型アイランドベッドを搭載したV64を初披露(Practical Motorhome)

分析・見解

全長6.36mに大型ベッドを収める難しさ

6.36メートルという長さは、欧州のバンベース車としてはごく標準的な部類である。駐車場や古い街の狭い道を考えると、これ以上は伸ばしにくい。一方でベッドの寸法は、人間の体格が決めてしまう。身長180センチの人が楽に寝るには、長さ1.95メートルは欲しい。幅1.4メートルは、大人2人がぎりぎり並べる広さだ。つまり車体は小さく、寝床は大きく、という矛盾を抱えた設計になる。

従来の多くのバンは、昼は座席、夜は組み替えて寝床という変形式を採ってきた。毎晩の作業が面倒で、結局使わなくなる人も少なくない。常設ベッドは、この手間を消す代わりに、空間を大きく食う。

アイランドベッドが生む「両側から乗り降りできる」価値

アイランドベッドの利点は、広さだけではない。左右どちらからも降りられるため、夫婦で寝る際に片方が奥の人をまたぐ必要がなくなる。夜中にトイレへ立つときの気兼ねが減る点は、数字に表れにくいが、長旅では満足度を大きく左右する。

欧州メーカーの間では、後部に横長のベッドを固定し、その下を大型の収納にする手法が広がってきた。ベッド下の荷室は、自転車やキャンプ用品を積める実用的な空間になる。V64も、寝床を後部に据えることで、前方に居住部分をまとめる狙いと読める。ここで鍵になるのは、ベッドの高さである。高くすれば下の収納は増えるが、天井が近くなり、座って着替えにくい。この上下の取り合いが、設計者の腕の見せどころになる。

日本とは違う前提:道幅と車検区分

日本で同じ発想をそのまま持ち込むのは簡単ではない。国内ではバンコン(=バンを改造したキャンピングカー)の多くが、全長5メートル前後に収まるよう作られている。これは小型・普通車の区分や、都市部の駐車事情に合わせた結果である。6メートルを超える車体は、日本ではかなり大きな部類に入る。

ただし、V64のような設計思想は、日本の軽バンや5メートル級にも応用できる。寝床を昼間は片付けず常設にして、荷物の置き場を下に集める。この考え方は、全長が短くても使える。

展示会デビューが映す、欧州市場の競争軸

展示会での初披露は、実際の売れ行きを占う試金石になる。来場者は寝転がり、通路を歩き、収納を開けて確かめる。スペックの数字より、体験で判断される場だ。今回、Rapidoがベッド寸法を前面に出したのは、価格や走行性能では差がつきにくくなり、居住性が選ばれる決め手になっている表れだと考えられる。ベース車が同じデュカトのメーカーは多く、車両そのものでは違いが出せない。残るのは間取りである。

ビジネスへの影響

国内メーカーと販売店が学べる設計の考え方

同じ全長でも、何を優先して削るかで売り文句は変わる。V64は、キッチンや収納よりも寝床の広さを先に確保した設計に見える。国内のメーカーや改造業者は、自社の車が誰のどんな使い方に向くかを、まず寝床の寸法で語れるようにするとよい。「就寝1.95メートル」のように、一つ数字を決めて打ち出すだけで、販売店の説明も変わる。

展示会や店頭では、来場者に必ず寝転んでもらう導線を作りたい。写真や図面では、広さの感覚は伝わらないからだ。

レンタル・シェア事業者が選ぶ車両の基準

レンタルやシェアの現場では、利用者の不満の多くが就寝に集中する。寝床を毎回組み替える車は、返却時の点検や清掃にも時間がかかる。常設ベッドの車は、組み替えの手間と故障リスクが減り、貸出の回転率を上げやすい。車両の入れ替えを検討する事業者は、車体の長さより先に、ベッドの常設可否と寸法を比較表に入れておくとよい。

一方で、大きな車は駐車場所や運転の不安から借り手を選ぶ。借りる人の層を見極め、小型の常設ベッド車と組み合わせて品ぞろえを作るのが現実的だ。

車中泊を仕事や副業に使う人への示唆

ワーケーションなど、車を仕事の拠点にする人にとって、寝床と作業場所を両立できるかは重要である。寝床が広く固定されていると、日中はそこを座席代わりに使えるが、床面積は減る。自分の使い方を「寝る時間」と「働く時間」で割り、どちらが長いかで選ぶとよい。購入前には、実際に半日ほど車内で過ごす試乗や短期レンタルを挟むと、失敗が減る。

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